日本ではもうOS派閥を遮れないのか

色々後手後手にまわってしまって手遅れ感の強い日本のソフトウエア産業〜特にUIまわりですが、あわてる必要はないと思っています。
あ、いや、iPhoneのようになんでもタッチ操作なデバイスをこれからも追いかけるのなら作らないとダメでしょうが、はっきり言って、もう手遅れなんだから無駄な人的リソースを割く必要ないでしょう。
開発陣を何十時間と残業休日出勤させて作らせても、しょせん「もどき」しか作れないんだから無駄なことをしないよう、経営陣には考えてもらいたいものです。

では、今から日本はどうすればいいか。
それは、思うに、せっかく日本独自で十字キー&ボタンで操作するという文化が根付いているのですからこれを進化させ、各社で共通のインタフェースを用意するのはどうでしょうか。

十字キーでボタン操作、これはまだまだ統一と改良の余地のあるUIだと思っています。
2本のアナログスティックの使い方もまだまだですよね。

例えば、十字キー:素直にメニュー上のカーソルを移動
    Aボタン:決定(決定以外の機能には使用しない)
    Bボタン:取消(取消以外の機能には使用しない)
    Cボタン:シフトまたはファンクションボタン。押しながら何かする
    Dボタン:とにかくメニュー(Windowsの右ボタンみたいなの)
こういう定義ですべて統一していくのです。
でも十字キーだけだと欠点もあります。素早い操作に向きません。例えばボリュームの調整。思いっきり下げたいときに何度も押さなければならない。
そこで、秀逸なのはdocomo SONY SO505isで登場しその後三菱Dシリーズ、受け継がれてPanasonicへと引き継がれたアレです。ジョグダイアルの進化系、スピードセレクター

あれは最も日本的で素晴らしいインタフェースです。ぜひ大切に育ててほしい。
十字+4つボタン+スピードセレクターの概念があれば、別にタッチにこだわる必要は全くないと思っています。

ただし、しっかりとこういった定義で役割を与え「変えない」ことが重要です。
逆にいえば「変えないようにソフト側をデザインする」ことが必要なんです。
しかし、日本はこれを怠ってしまった。
プログラムの都合のいいように、このソフトの時は「こう動く」けど違うソフトでは「別の動きをする」ようにし、さらに「取消」だけの役割のはずが「スピードアップ」にもなってたりと使う側を混がらせるような割り当てをしていってしまったのです。

こういったボタンの2重解釈の積み重ねが「使いにくい」ものになっていってしまいました。
2重解釈させないようにするには、本当に必要でないものを捨てる作業や普段使わないけど玉に使うときにだけ表示されるっていうメニューの処理も必要で、そういったものに手をかけず、吟味せず、やたらとずらずら追加したメニューを設け階層化の整理もせずに同じようなものをあちこちに増やすことをやめなければなりません。

いい例がPS3です。
一見整理されたクロスメディアバーですが、「ビデオ」にも「音楽」にもサーバーアイコンが出てきたり、ゲームにもStoreにも同じようなアイコンが羅列しています。
作る側からみると、「ビデオの中のサーバーアクセスボタン」という意味で置いているのかもしれませんが、使う側からみたらどれも同じでアチコチあって見苦しいだけです。
こういった情報の整理がされないで羅列するインタフェースで製品を世に送り出すから「使いにくい」インタフェースが散乱するのです。

iPhoneOSの素晴らしいところは、ボタンを1つしか無くしてしまったことと、そのボタンは1つの役割しか与えられていないことです。
ボタンを無くしたのには、ハード(つまりボタンという部品)面の故障によるリスクを減らす目的もあったのでしょうが、ボタン自体を自由にデザインすることができるようになるのですごい!のではなく、余計なボタンやインタフェースをちゃんと考えさせて必要なものしか置かせないという真髄がすごいのです。

必要なボタンのみを大きく押しやすく置いた。つまりWindowsに代表される[X]ボタンや[ロ]ボタン、例えばWindowsではタイトルバーのアイコンもメニューになっているんですが、そういうものも排除。無駄なものを置かない。
そうすることで、UI・情報の2重解釈を防いでいます。このおかげで誰もが迷わず使え、想像の域で操作ができるようになります。

もう一つ、iPhoneで素晴らしいと思ったことは、新しい操作を「楽しい操作」「一度はいたずらでもいいので試してみたい操作」として取り組んだことです。

iPhoneで覚えるのは操作はどれもダイレクトに反応がある新しい操作なので知らない操作を楽しく試せます。というか、iPhoneを触ると誰もが紙面を飛ばすように(ずらすように)写真を横にスライドします。つまんで広げたりします。みんな楽しそうですよね。

新しい操作、インタフェースに皆興味をもって触ってくれます。
おかげで本当は難しい操作なのに誰もが覚えてしまいます。これはとても凄いことです。
こういったことは本当に何度も試して「どうやって便利に使うか」を何度もTRYして繰り返し悩まないと生まれません。
はじめはスライドするだけ、そのうち、行きすぎたら元の位置にもどるようにしよう、とか、指に追随するスピードはどれぐらいが適切なのか。
どれもこれも試行錯誤の跡が見えます。

ということで、無理にタッチOSもどき化しなくていいですし、十字キーの操作極めてくれればいいので、日本はもっとOSなどの使い勝手の情報整理をするほうに力を入れてほしいです。

ほんと、気がつくと、情報家電がみんな海外製になっていったら。。。。哀しいですよ。