BDと日本アニメの行く末


最近、得に思うのは、TVっていうソースから派生する商売は酷くなった、という結論。
BlueRayの発展も含め、この分野は終焉が見えていると思う。

まず、Blue-Rayの魅力は?と聞かれると、「大容量」「画質が奇麗」「音が良い」の3つじゃないだろうか?
でも現実を考えて欲しい。DVDはアップコンバートされ、奇麗に表示される。音を良くするためにはTVやAVアンプなどの出力機器にお金を掛ける必要があり、特にヒドイのは、DVDで圧縮するレコーダー技術。別にDVDでもいいじゃん。
そして、販売されるDVDコンテンツ。TVシリーズを1クール1枚に収まってます、っていうのはほとんどなく、BDにしても2〜3話程度しか収まっていない。

で、値段が上がってるか据え置き。

DVDが4.5GB、BlueRayが30GBだとすると、単純に6倍ぐらいにはならきゃいけないのに、DVDで2〜3話しか入っていないDVDコンテンツのBlueRay版に何話入っているのだろうか。
普通に13話の1クールぐらい入っていてもおかしくないはず。でも現実は違う。

中身が代わっているのか?例えば同じ話を別なカメラアングルでグリグリ動かして見ることができるか?否。
中身が奇麗か?否。いや、ある意味奇麗なのかも知れないが、DVDレコーダー等の補正機能で見るかぎりさほど変らない。42インチ以上のTVで見て、はじめてああ、輪郭が少しギザギザかも・・・。でも動いてるから判りにくいし気にならない・・・っていう程度。

こんなものに、金使うか。
前までやってたTVアニメの「とらドラ」。結構面白かったし、最終回見逃したので欲しいなと思ったけど、あれじゃ買う気になれない。

作る側、作っている側には申し訳ないけど、うちらは「内容が知りたい」のであって、内容が奇麗でうっとりしたいわけじゃない。
100本のアニメがあったら、100見られたらいいなと思うけど、100うっとりしたいわけじゃない。
どのみち100を消化するには時間にも限りがあるから1.5倍再生とか活用しなくてはいけない。そうなると、当然ジャギーだのなんだのなんてレベルじゃなくなる。

別にアニメだけに限ったわけじゃない。
日本のドラマは[ワンポイント]がない。たとえば海外ドラマのBONESなんかでは、骨を復元するのに高度な3次元CAD映像を見せたりする。本当にそこに存在しているかのように。
ワンポイントとは技術的な何かじゃない。「想像もしなかった何か」だ。
日本のドラマは人と人が織り成すドラマ、であって、想像を越えるものがない。
なら、みんな「夫婦道」みたいに脚本を巧みに凝らして目を離すのがもったいないぐらいにして欲しい。
でも、それがない。適当に受け狙いの人気俳優女優を使い、適当なラブドラマを展開させる。主題歌を流行らせようとしTVの中でスポンサーの携帯や機械をこれみよがしと宣伝。CMに入った瞬間大きな音で目を向けさせようとする。

最近の子供はバカじゃないです。少なくても団塊の世代の大人たちより、良く考えもするし理解もする。
PushなメディアはあくまでもPush〜つまり一方通行のお仕着せだということを理解している。
今の世代の子供は、受けたものを皆で議論し共有し、その語りを楽しいと感じている。
それが判らず、いつまでも20年前と同じ作りをするだけでなく販売方法や利益の生み方まで同じでは、見向きもしなくて当たり前。


運悪く、時の首相が「日本のコンテンツ」と騒いでしまった。
今の世代は、ネタを議論することに長けている。そのせいで、コンテンツが似たりよったりになっていることに簡単に気がついてしまった。

1つの頭ではなく、たくさんの頭脳がある。

パソコンもそうだ。
家電もそうだ。
すべて同じ。似たりよったりになると興味が無くなる。
デジタルカメラでもオンリーワンの機能のものが売れる。
なら、アニメもコンテンツもそうだ。

ワンポイントというのは、それだ。

そういうのが無いものに、数万円もだしてコレクションする気力は沸かない。
あったとしても、それがその値段に見合うか。
10万もあれば、大型TVが買え、海外旅行も出来たりする。

体感できるものは見るものよりも感動が違う。
大画面と奇麗な映像は、旅行番組が楽しい。いながらにして、そこに行った気分になれる。行く前に「もう一度行って見たい」気分にさせる。

これからは、個人が出向いて体感する時代だ。
画面にくいついて観るものは、安くていい。1枚のBlue-Rayに全53話収録とかやって欲しいものだ。
そうでなければ、ダウンロード販売で十分だ。そうすれば余計な課金を課せられる必要もない。

やはり、ズレている。

ガンダム30周年という節目もあるんだから、この「ズレている」感覚を世に問うて、しっかりとした作品にして欲しい。
小説のような丁寧な描写と世界観を伝えることが今のアニメにできるなら、日本のコンテンツは再度火を灯すだろう。