iPhone log:#33 進化の爆発剤と業界再編の序曲が聞える

年内に恐ろしいことが起きてしまいましたね。ついに・・・。

というのも、もう、どこのblogでもサンザン書かれていますけど、産経新聞がアプリ&無料で新聞の配付を行いましたよね。

コレ自体、別に不思議でも何でもなく、素直な流れです。
一応、今の段階で・よおく見て見ると、


◇拡大率3段階目でないと文字が認識しづらい(=紙がいい、と一見思わせてる)
◇結果的に全体を見渡して読むのに向いていない(=新聞のメリットを殺していない)
◇新聞を取る=地方の広告を見られる、というもう一つのメリットが消えている
◇夕刊がない


という条件があるため、既存の新聞購読ユーザーが離れる危機に対しては、さほどダメージが無いでしょう。
でも、メインの広告主にとっては今以上に宣伝が出来る、という新聞社の収入効果・コスト削減効果を向上してしまう、という画期的な手法であることがポイントです。


本来 手間ひまコストがかかるはずの「印刷、紙の価格」をカットしつつ、広告をより多くの〜しかも今 新聞から離れている世代に特に〜見せられます、というこのビジネスモデルは、間違いなく他の数社も追随してくるでしょう。


iPhoneで新聞が見られるメリットは、


■ 手が汚れない
■ 荷物を持たなくてすむ
■ ゴミにならない〜環境への配慮
■ 配達員のコスト、紙媒体のコスト等の印刷・流通のコストが削減


という大きく目を引く部分があります。

広告主にとっては、より多くの人に目が触れてもらえる効果の方が大きいわけで、ここから発展して画面をタップするとメーカーのホームページに飛ぶようになる、とか、新聞では補えない「動画」によるニュースへの展開が行われる、とか、もう、やりだすとキリガナイほどの発展が期待できます。

まさに、画期的な爆発剤です。
しかも、この新聞無料アプリ化がきっかけで、次は雑誌も、マンガも、という道が出来てきます。

ところで、この爆発の先にある「爪あと」は、出版業界の道にグサリ。

このままではイケナイと思う出版社は、間違いなく「同人サポート」を始めるでしょう。
これはどういうものかというと、「マンガや作品を世に出したい」著者に代り、iPhoneで作品集として「週刊もしくは月刊で配信」する「つなぎ役」のことです。

iPhoneで配信するには面倒な手続きと会費が必要です。
そこの間に入って(お金を取るか逆に払うかは判らないけど)デジタル雑誌に投稿できるようになる、というものです。

これをどこかが始めれば、一気に世の中の紙媒体のデジタル化が始まるでしょう。
そうすると、今度は「普通の携帯じゃ、ダメじゃん」ってなるでしょう。
普及・波及効果です。

上の階層が利益を美味しく取得できると判った瞬間、世の中は爆発的に加速し変化します。
今回のiPhone到来の、第2のトリガーは、産経新聞の無料アプリ化という一見「へぇ」と見逃しがちな出来事だったようです。

更に、日本は「中庸が良い」文化がなので、皆と同じでないとダメ的に広まりそうです。この事象、DSやゲーム機等で何度もこんな展開がありしたよね。

そうなると、皆iPhoneiPhone騒ぎ出してきて、今度はそれなら、といって既存のマンガ雑誌が「有料で〜でも紙媒体より安価に〜定期配信を始めるでしょう」。


・・・ユーザーにとってイイコトは、日本全体の経済にとってイイコトばかりとは限りません。

つまり、これらの超デジタル化現象がどんどんと具現化していくと、結果どこにしわよせが行くでしょうか?

答えは、紙へアウトプット業界です。

出版社→末端のコスト削減、広告主増加、情報投資の向上。数年でペイするだろうから、問題なし。デジタルの2次利用もできるのでウマー。

ですが、

著作者→より多くの媒体で、しかもその気になれば直接販売できるチャンスにもなっていくので、コピーを考えなければ○。考え出すと大問題、そこがネック。

印刷所・製紙業界→印刷所はCTP等のデジタル機器の投資コストの回収が終わらないうちに需要が減り大混乱。製紙業界は値上げしたツケがここに来てガッツリきて大混乱。

印刷フィルム業者→CTPやデジタル化が更に加速し、売上減。

「結局ハードよりも、どんなソフトがでるかです」
と言いつづけてきたゲーム業界。これも実はヤバイ。

コナミスクエニ等、iPhoneを収入端末として見始めている大手メーカーは多いです。
しかも、こちらは印刷・流通コスト=appleに支払うコストと考え、ROMの著作料やカートリッジ代等々を含めて考えれば大きなコスト削減が見込めてしまう業界です。

そういった周りからの需要も減り、やがて動きは、日本の印刷関連という1業界を破壊します。
もともと環境対策の槍玉にされつつある業界なので、新しいことを考えなければヤバイかもしれません。

と、同時に、個人著作物が世に出やすくなるというblogのような現象に繋がっていきます。

これから先、どうすればよいのでしょうか?

爆発後には、映画もiTunesで配信したほうが売れるじゃん、とかなって、既にGYAOやケーブルTV、デジタル放送の奇麗さにやられ始めているレンタルショップのうめき声も聞えてきそうです。

トドメに、B5〜A4サイズで薄く軽量の紙のようなMacOS X/PC端末が出てきたら、もう、アウトでしょう。

・・・今の首相は、コンテンツ・コンテンツと騒いでおりましたが、その周りに蠢いているこの事象の波動の先にある、この苦しみの連鎖を理解しているのでしょうか?

きっと、後からあわてふためいて、「iPhoneアプリ配付規制法」みたいなものが出来るんじゃないかと思います。早ければ来年後半にでも。

でも、すでにそれは遅い。今やっていなければ、もう、だめでしょう。
もう、既に政府もマスコミも民衆を制御できない状態になりつつあります。

もうすぐ、日本が未来化します。

私たちは、そのスピードについていけるのでしょうか。
これは、個人的には、オソロシイ序曲が流れてきたと思っています。