Sharpから、PCをクレードルに挿して使うPCが登場した。




おぉ、やっとこういう世界になったのか、と思う半面、全然過去の教訓を活かしきれていないその製品内容にがっくり。

MURAMASA MM1は、過去に登場した、私も使っていた Macintosh Duo シリーズの失敗を改善していないのである。あのときの欠点は色々あった。とくに「NotePCがデスクトップになる」というアイデアそのものは面白かったのに結局その特徴を活かせないまま終わったあの教訓。



今回の製品は更に割り切ってHDDとしてだけにフォーカスしたようだ。セキュリティに気を配ったのは良い傾向だけど、それよりももっと大切な部分を忘れているような気がする。



クレードルにしたらメディアスロットはすべて使えない」ということを。PCカードスロットType IIを装備し、10.4型TFTXGA)ディスプレイをもっていながら、これをサブとして使えないのは本当にもったいない。CLIEですら、クレードルに置くとMEMORY STICKスロットとして使える。PCがただのHDDになるなんて、もったいなさすぎる。



セカンドディスプレイとして利用できたり、PCカードスロットも認識して使えるようになれば、これほどいい「2台目マシン」はないのに、HDDだけである。非常に残念だ。正直メールの同期だけならばEtherケーブルやiLinkで十分だ。だったらクレードルなんかやめて掃除機みたいにEtherケーブルが にょろ〓っとでてくるようなギミックの方が何倍も使いやすい。


わりと大容量のメールをやりとりする人でも、128MBのMEMORY STICKにソフトなどをいれるとか、iPodなどに入れてしまう方法でメールデータの持ち歩きはできるだろう(そういう意味では、拾ったメディアを悪用されないような仕組みを早く業界として導入して欲しい)。



メディアにソフトを入れて持ち歩くのは「セキュリティ上危険」というだけでそれ以外のデメリットは見当たらない。逆に持ち歩きPCにデータを入れておくと何かあってそのHDDが使えなくなった時に危険になるだろう。

そうなると、本当にクレードルにすべきだったのか、という疑問が沸く。




Macintosh Duoシリーズでは、持ち歩きマシン=デスクトップマシンになるという発想だったので、まだその意義はあった。1台で外でも中でも使おうという考え方だ。しかしながら速度不足やLCDの狭さなどもあって結局マニア受けマシンとして終わってしまった気がする。自分としても速度と液晶画面のアップグレードパスが無かったので結局使わなくなった。


せっかくクレードルにしたならば、デスクトップPCのメールソフトと同期を取るようなソフトを入れておくとか、差分バックアップが自動で動くとか、PCからソフトをインストールできるようにするとかして欲しいと思うのは普通じゃないのだろうか。たんなるHDDなんだとしたら、Windowsの場合レジストリ登録が出来ないので一般のソフトは入れられない=NOTE側にソフトを入れる場合には別途CDドライブを繋いで行う必要がある。なんでしょな、これ。


(実はつい最近、SharpのNetMD、ドライバのダウンロードリンクすらサイトに置いていないことが判って購入時のCD探しに苦労した。で、ようやくみつけたCDからLXにインストールしようとしてもドライバやアプリが正しく認識しないという現象が起った。Setup.exeがエラー、無理やりインストールすればエラーで起動しない。PCを再セットアップする時間がもったいないので、もうただのMDに成り下がっていたりする。ドライバさえ公開していてくれれば、探してインストールして不具合発見して、という時間が大幅に短縮できただけに、かなりムカっときていた・・・という経験もあいまって) 目のつけ所はシャープかもしれないけど、その後を考えていないという感じがしてたまらない。



製品を練る時間がない?という発想が社内にあるのならば、そんな製品は出さない方がいい、と使う側は思う。しかし経営側は販売して少しでも還元したいという気持ちもある。だが、結局中途半端なものを出しつづけると最後には「あんな使えないシリーズ」というユーザーの固定概念ができてしまい、たとえ次の製品で良いものにたどり着いても魅力半減となるばかり。しかも先に買った人はバカを見る→だからユーザーは中途半端にみえる製品を買い控える。そうしている間に後発のメーカーに追いやられてしまうという図式ができあがる。こういったことが見えないのだろうか。

これは、最近のTVサーバーにも言える。TVサーバーは本来SONYが真っ先に広めてくれるべきものだったはずだが、東芝富士通NECが魅力ある無線システムを発表しはじめている。

PDAで録画したTV番組を無線で(例えばトイレ中になど〓)見られることができる時代は、もうそこまで来ているだろう。後は値段だけだ。

ただ、はたしてそんなにまでして見たいTV番組があるか?といわれると疑問である。前にNHKの連続TV小説を1年近くためてから見はじめたことがあったが、見終えるのに2〓3日ぶっつづけでかなり苦労した。いやはや、ためすぎるのも辛い。



かといって録画してまで見たいという番組は実は少ない。そして更に最近流行の54分からスタート!するような見たい番組は実は裏番組と微妙に重なって録画しにくかったりする(あの悪いアイデア辞めて欲しい)。インターネットに繋がっているくせにナイター等の延長で30分や1時間ズレ込んだ予約を調整してくれるソフトもまだ無い。一番欲しいのは簡単予約よりも、実はこっち。



なになにが「できるようになった」、では、もうダメでしょう。なになにが「できるようになり、こういうシーンで便利」とアピールできないと。


そして、実際に開発者や営業マンが使ってみたものを売るようにしないと。クレードルは便利ですか?私は出来ることならば、Expoやショーなどで実際に触らせてその時の意見をもとに改良してから出して欲しいと思う。