今回は、マルチリモコンの話しである。

そもそも、マルチリモコンというのは、「う、いっぱいあるリモコン、じゃまだなぁ」という発想から「1つにまとめられれば」という生活の不快から生まれたもので、海外と日本でほぼ同時に開発されたものだったと記憶がある。とうぜん協力関係はないんだが。日本で初めてマルチリモコンを単体で商品として世の中に送り出したのは、すでに開発だけの会社になった「株式会社ハル研究所」である。いまは、販売部門は分割して、リモコン関連の販売は「ハル・コーポレーション」社が引き継いで扱っている。世界的にはもう1つの会社が先に世の中に出してしまったので、世界初とはいかなかったようであるが。


(脱線してしまった)

さて、このマルチリモコン、正確には、マルチ学習リモコン、今では、あまりみかけない。私の知っているかぎり、ビクターの小さなやつと、ハルコーポレーションのクロッサム子孫HMR-2001(色のセンスが無い)、外資系メーカの液晶が付いているタイプ。ぐらい。

一時期、どんなメーカーでもビデオやコンポについてくるマルチリモコンは必ず学習機能が付いていた。では、なぜ、無くなっていったのか?

答えは、分からない。でも、これだけは言える。私が思うにマルチリモコンの欠点は、以下のものだ。

  1. 覚えさせるのが面倒。
  2. 覚えさせたものが解らない(目に見えない)
  3. 小さいボタンがたくさんで複雑になるので結果的に「使いにくい」
上記問題がほとんどであると思う。例えば、覚えさせる件はプリセットから呼び出すことである程度は回避できるが、覚えさせたものが解らないってのは液晶等ですべてのボタンを書き込めなければ解決できない。そして、それは、今の段階では無理だ。

そして、小さいボタンがいっぱい。これは最近の「大きいボタンで押しやすく間違いにくい作り」と正反対の方向にある。

だから、メーカーとしては、ややこしいサポートをしなければならない機能を削ってシンプルで使いやすくて大きいリモコンをその機械に付属させればいいのである。そして、世の中も、その方が結果的にシンプルで使いやすいと判断したようだ。

 しかし、残念だ。いま、蛍光燈もリモコンで制御する時代だから、私の家には、リモコンが8個ぐらいある。とりあえず、クロッサムを使うことで3個程度に押さえているが、やはり、覚えさせたものがどこだったか忘れるのとボタンが小さいことに不満だ。ご存じのように私の手はアメリカンサイズだから(笑)

また、シールでボタンが何かであるかを説明するのには限界がある。書き直すと汚くなるし。

そこで、この間、東急ハンズでその外国製のLCDがついたリモコン(Marantzだったような気がするんだけど)を見て、欲しいなぁ、と思ったのは一瞬だけ。やはり、ボタンが小さめになるのと、LCDには英語でしかも数文字程度しか定義できない。

 なんで、これだけ、PDAが発展しているのに、PDAをリモコンにしないのだろうか。むかしパソコンのIRをリモコンにしちゃうっていうアイデアがあった。それをちょっと工夫するだけで相当使いやすくなると思う。

最近のPDAはほとんど感圧式のタッチパネルを装備し、カラーで見やすい。赤外線も装備している。全部できるようになってもいいのではないだろうか?ボタンも自分でデザインできるようにしちゃうのだ。生活の中で、本当に必要なボタンっていくつあるだろう?

私の場合、まず、TVとビデオ、蛍光燈、エアコンの電源ボタンは必要だ。ラジオはタイマー駆動しているからそんなにいらない。TVとビデオにはそれぞれ4個ぐらい余計に必要だよな。エアコンも調整する必要があるな、うん。でもよーくみていると、やっぱり、20個は無い。例外はあるけど、そういうのを抜きにして、意外に、生活で押しているボタンてのは、少ない。もちろん会社に行く途中にエレベーターなどを利用しているかもしれないが、この高度な世界になっても使っているのは20個ぐらい。


よくよく考えていくと、驚いた。昔、とある心理学者が、世の中の選択肢は概ね20ぐらいの中での選択にしか過ぎない。というのを言っていたような気がする。どんなに多い選択肢で「いっぱいありすぎる選択」も、いくつかのグループに分けていくと結局20ぐらいの選択肢にしか過ぎない、っていうあれだ。たしかに、これは思う。

つまり、今、あなたが、これから1分後に行動する内容は、無限に感じるようだが実は20ぐらいで終わっているのだ。当然可能性という例外を考えていくと話にならないが、今までの経験やその置かれた状況を考えれば選択肢は意外と少ない。

これをうまく捕らえているのが、占いというカウンセリングのシステムだと思う。

(どうも、脱線してしまうな)

さて、リモコンの話に戻ろう。リモコンは、そのワイヤレスという便利な反面、ワイヤレスでなくても良かったものまでワイヤレスにしてしまったことに問題があった。たとえば、テープの取り出しというボタンだ。最近は少なくなっているが、これこそ無駄なボタンだ。なぜなら、離れた場所でテープをイジェクトしても意味がない。

で、なんで、マルチリモコンを欲しがるか?それは、簡単で、あちこちにあるリモコンをあれよこれよと触るのが面倒だから、につきる。そこで、その考えをそのままHAVIに想定してみよう。

よく言われるのが、IEEE1394によってゲーム機を中心としてMDやデジタルTV、エアコン、お風呂、さいてはセキュリティまでコントロールしてしまおうなんていう考えであるが、本当に便利な部分と、別にいらない部分がある。躍らされないように気をつけよう。

そうだ、こう考えてもらうと判るかな。あなたの手元にPowerKeyというコンピュータで電源のON/OFFだけを管理できるアイテムがあるとする。当然、これを使うには電源ONと同時に作動するアイテムでないといけない。昔の扇風機とかでボタン押したまま電源が切れるようなものが無ければいけない。

ところが、いま、よくまわりを見てもそういう単純明快な構造を持つ機械が少ない。まず、スタンバイになって、さらにスイッチを押すことで機能するものが多い。また、逆の発想で遠隔操作で電源がONになって欲しいものってのは、どれだけあるだろうか?

私の生活圏では、「その場にいないのに遠隔操作で電源がONになって欲しい」ものは、寒い日のコタツとお風呂のスタンバイだけだ。あ、遠隔操作でビデオを録画したいと思うことはあるが、そのテープがTV用の録画テープだったか思い出せないときには恐くてできない。だから、早くHDレコーディングなビデオデッキが広まって欲しい。そうすれば遠隔操作が…ってなる。



 そうか、よく考えると、その場にいるからその場で押したい。この操作が基本で、あまり居ないところへの電源管理などの要求は少ない。リモコンも考えていくと一ヶ所の場所に住みついて動かない場合には色々と必要になるが、よう考えるとこの需要は一人暮らしのときには需要が高いが、複数の人と暮らすときにはあんまり便利でないほうが、実は人間味あって暮らしが楽。
もちろん、違うメーカーCDやMDとのダビングコントロール時などに、「連携」コントロールがHAVIによって簡単になることについては、大歓迎だ。だから、その可能性についてのHAVIは期待している……。

(また脱線してしまった)

マルチリモコンの話に戻ろう。

結果を言えば、現在のIrDAを持つパソコンでAV機器のコントロール等をするのは、ムリのようだ。インターネットで情報を漁ると、
  1. IrDAと家庭用リモコンの電波は規格が違うものらしい
  2. IrDAの電波はあまり遠くに飛ばないらしい
それでも、パソコンで、マルチリモコンのように赤外線でコントロールするアルプス電器株式会社がOEM用として昔に出荷した【Irマルチステーション】という製品がある。つまり、こういうものが無いとおそらく無理であろう。

IrDAは通常のリモコンとハード的に違うという話を見つけた。だから、パソコンでマルチリモコンを行うには、そのリモコンの仕組みそのものをエミュレートしなければいけないようだ。前述のIrマルチステーションは、その家庭用リモコン電波モードをハード的に備えているらしい。



結論、PDA端末として出なくてもいいから、ポケットゲーム程度の液晶パネルで日本語表示できる、PCと連携ができるマルチリモコンをどこかが作って欲しい。

PCとの連携は「液晶画面」のレイアウトと「ボタンの名前入力」だ。そうだな、マルチリモコンそのものは学習するときにPCと接続してコントロールする形態が一番いいかな。そうすればソフト的に色々versionUPできるし、覚えたものをPCにバックアップさせることができる。また、リモコン自体はシンプルな作りにできるので学習モードスイッチを作る必要もない。シンプルにタッチパネル式の液晶とページ切替用のjogダイヤル(50ページぐらい欲しい)そして、PC接続ポートがあれば十分だ。データはすべてPC側から転送する方式で覚えさせるようにすれば複数の機器を作ることもできて故障等のときにも便利だ。