世界を変え始めたiPad

さて、内容のあるようでないような記事のタイトルをパクって(笑)ここからiPadが何をしてくれるかを考えてみたいと思います。
前々からiPadが登場する事で世界が変わると言い続けてきましたからね、久々の土曜日の休日でゆっくりする時間ができたので、書いておきたいです。

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既に色々な場所で書かれていますが、iPadはソフトがいかに大切かということを再認識させてくれるデバイスでです。
技術的・・・そう、ハード面ではそれほど目新しいことをしているようには見えません。だからnetbookと何が違うの?ノートパソコンを持ち歩くのと何が違うの?っていう質問には「うまく」返事することが「しにくい」デバイスです。

そう、一見するとどこも変わっていないので想像しにくいですし、それを判らない人に説明するのが難しいのです。巨峰とマスカットって色以外何が違うの?みたいな感じですか。

ですがよく考えてみるとiPadの技術、結構すごくないですか?っていうところがあります。

(1)IPSディスプレイ

これほどの低価格帯のデバイスにこんな奇麗で視野角が広く、サイズも大きめの液晶が使われた事がありますでしょうか?

(2)十分なスピードを備え、かつ10時間もつ電池

最近でこそ、10時間クラスのスタミナを持つノートパソコンは出回っていますが、それでも10万を切る価格帯でB5サイズのもので1024x768の解像度を表示でき、かつWEBブラウジングのスピードが納得いく速度である製品がどれだけ世の中にあったでしょうか?
あったとしても、それは1Kgを下回っていましたか?

強いていうならば、LetsNoteの液晶を今よりももっと高性能のにして価格を6万で売れ!っていうようなものです。ありえないでしょ?

(3)10点以上認識するマルチタッチな認識力

タッチできるデバイスとして、3〜4カ所でも同時認識できるだけで十分使い物になるのに、さらにもっと多くのタッチポイントを認識をしています。
これが何ですごいのかわからない、という人はシーンを浮かべられないからです。
iPadのようにリビングで家族や仲間と「同時に」触る可能性がある端末の場合、これらが重要な認識を果たします。
解りやすい形でいいますと、エアーホッケーを5人でやるとします。5人がパックを叩きあいます。その間5人が同時に指を触りパックを捕まえることになるでしょう。
つまりそうです。一人で触っている分には理解できない事ですが、複数となるとこの5人が同時に触った箇所を認識できる機能が重要な役割を果たします。

もちろん、一人で触るときでも「お!?」って思えることに貢献しているシーンがあります。
iPadのソフトウエアキーボードはピアノを弾くようなスピードで入力しても追随してくれますが、
ソフトウェアキーボードが高速にタイピングされる指に軽快に反応してくれるのも、この技術のおかげではないかとおもっています。
バックグラウンドでこういった処理に対応できるからこそ、遅延無く認識し処理できるからではないかと思われます。

このマルチタッチ機能をうまくゲームに使ったのが、スクエアエニックスチョコボパニックですね。あれはゲームとしては一見なんてことなさそうですが、2人対戦したときにその真価が発揮されそうです。


(4)指で操作する事を気持ちよくさせる拡張されたiPhoneOSのユーザインタフェース

iPHONEである程度完成された操作感ですが、ちょっとしたリストを吹き出し風に出現させて選ばせるメニューや、随時出現してくるポップアップメニュー。
横持ちにしたときに分割される画面形式。
それぞれが必然でかつ最小限に抑えた機能拡張です。iPhoneに比べ大きな画面になったことを巧く活用しています。

また、日本にありがちなあれもこれも追加していけば便利、という方向で機能を追加せず、使い手の想像がつく範囲の最小限にとどめてOSを拡張/便利にしたことが素晴らしいです。

以前書きましたが、Appleは従来のMacOSのマウス中心になったPCのユーザーインタフェースの革新をしようとしています(WindowsももともとMacも基本マウス中心)。
しかしそれは一気にやると必ず拒否反応やディバイドされる人が多数出現してしまう恐れのあることです。
ですので、これを一気にやらず段階を経て導入しています。

操作を激変させる機能追加はいきなり導入せずに、あえて事前情報〜予備知識を先行させ、イメージトレーニングする機会を設けています(OS4のマルチタスク機能等)。
ちゃんとユーザの成長を考えて段階を踏んでいます。これこそが優れた「技術」の提供の仕方です。


以上、4つの素晴らしい技術が導入されています。
日本の企業が製品として取り組み、そして販売できていない十分に優れたものです。


そうそう、余談その1。

FLASHなんてとんでもない。ちっちゃな所を矢印でつつくことが前提の画面、最速で発熱と電池を喰うスピードを要求する複雑な機構、あんなものさえ無ければ5年前のPCでもまだまだ十分つかえるはずなんです。FLASHって騒いでる人のほとんどはFLV形式の動画さえなんとかなればいいんでしょ?
FLASHの時間軸に併せてコントロールできる表現機能そのものが必要なわけじゃないでしょ?
サイトの画面がPNGJPEGになって動画がH264形式になってくれれば別にいいんでしょ?
前にも言ったけどユーザーがメーカーのサイトに合わせて環境を買う必要なんてないんです。

無理に導入して「ボタンが押しにくい」「表示が遅い」っていわれるぐらいなら無い方がいいんですってば。
見せたければメーカーがユーザーに合わせるのが本来の形なんですよ。iPhoneFLASHに対応しても今あるページのFLASHのちっちゃいボタンを指で押しても誤動作しないよう作り直してくれますか?否。
ADSL光回線前提で作られたデータサイズが大きく長いロード時間を改善してくれますか?否。

もともとFLASHなんてスキップしてる人が大半なんですから、FLASHが無くて困るのは見せたいメーカー側の人かそれを作っている人だけですってば(笑)
FLV動画だって、CravingExplolerとかでiPod用の動画に変換しちゃえばそれでおしまいだしね。
だから、下手にFLASH対応させず、作り手がもう一度考えて作ればいいだけなんですよ。

そして、余談その2。

以前、SONYからエアボードと呼ばれる製品がありましたが、たしかに今のiPadと似ているかもしれません。しかしコンセプトはまったく別物です。
エアボードは当時TVにWebを!という流れの中で生まれた派生的な商品です。ついでに写真も視られたら便利じゃないの?TVだけでなくインターネットも見られれば活躍の場面も増えて便利じゃないの?売れるんじゃないの?的におまけでくっつけた機能で出来た製品でした。
だから、10万円以上したあれが3万になってもまったく欲しいと思わない。

むしろ、iPad/iPhoneは、CLIEが持っていた方向性に近かったです。
でも、重要なのは、iPhone/iPod Touchと同じく、決定的に違う「サイズ」。

そして、コンセプト、マーケット。
iPhone/iPadは、はじめから「タッチ操作前提」「ソフトありきの姿勢」「どんなソフトでも共通の操作で触れる」「リビングで皆で触れて更に外に持ち歩ける」を意識し「どう提供し、どうやって使ってもらい、どうやって成長させていくか」を意識して出来上がった製品です。付け焼き刃的にあれもこれもと盛り込んだ製品じゃないのです。

だからこその、オプションのカメラ写真をダイレクトに取り込めるキットがあったりするわけです。


■Change2

長くなりましたが、これからiPADがどうやって世界を変えていくかの話に遷りたいと思います。
まずは、一つの例。

http://www.flickr.com/photos/latlonglab/4644155465/

これを見てください。
iPadのソフトの良さの1つに、地図があります。
インターネットにあるgoogle等の地図で簡単に探せ、そして今度はPC並のサイズで見る事ができます。
そのため、iPhoneで小さくて使いにくく、みえにくかったものが解決されました。
完全に紙媒体のポケット地図の代用になれるぐらいのものになりました。

ただ、紙と違って1つ負けている部分がまだあります。それは「なぞる」という行為です。
紙の地図なら紙の上にマーカーで店を書き込んだり、目印やポイントとなる部分に色を付けたりできましたが、デジタルになった地図では簡単にできません。

その不便さの一つを解消しようと試みているのが、このyubichizです。

探した地図の気になるところをなぞると、その道にある店を教えてくれます。
この発想の裏ではわりと高度な技術が使われていると思いますが、これがさらに発展して「見つけた店をマークする」とか、周辺のポイントとなる地図部分をマーキングできるようになると、もう紙で探したりするのがバカバカしくなるでしょう。

もう少し発展して、iPadの特徴の一つであるオンライン雑誌と組合わさるとどうなるでしょうか。

るるぶ」等に代表される地図付き地域紹介情報誌は、かならずといっていいほど紹介店が地図のどこにあるかを示すマークと見開きの地図ページが存在します。
でも、「P.13のC6のマス参照」とか面倒な「場所探し」が多いですよね。
デジタルの地図上で、はじめからマークされていて、記事の場所があらかじめ判るか1クリックでジャンプできれば便利ですよね。
そして、自分たちで旅行する際に「この道を通ってみよう」となぞれたら便利ですよね。

みんなで旅行の打ち合わせをする際、iPadの地図を見ながら「ここの道をこう歩いてここの店に寄っていこうよ」って話せたら便利じゃないですか?
「なになに、この道にあるこの店はどんなの?メニューや営業時間、休業日はいつ?面白そうじゃ無い?」とか、「こっちの道の商店街を歩けばこんなイベントやってるみたいよ?」とか情報を先に知る事ができたら楽しく便利なりませんか?

店は広告と同時に自分の良さをアピールすることができるようになるかもしれません。
地域の商店街はインターネットに情報をアップするようになるかもしれません。
そうしたら、今どんどん死に始めている商店街に、また人が来るようになるかもしれません。

たった一つのラーメン人気店があったとします。
そのラーメン店まで、どうやっていくか道をなぞったとします。
すると、その道の近くでやっている情報が集まってくれば楽しいでしょう。もしかしたら近くでドラマのロケをやっているかもしれません。
そのロケを見て、面白そうと思ってそのドラマを視聴するようになるかもしれません。出てくるタレントや主題歌に興味を持って買うようになるかもしれません。

今までインターネット上に「点」と「点」してあった情報がくっつき始めるのです。
とてもワクワクしてきませんか?

すると、自分で調べるときにはiPhone。みんなで話し合うときにはiPad。こんな使われ方がされていくと思うのです。
もちろん、旅行に行くときのお供にも。10時間もつスタミナは日中十分活躍してくれます。
旅館についてから、みんなでとったデジカメや携帯の写真を1つのipadにまとめて、その場で皆でみることもできます。そんな旅行先の部屋で皆で持ち寄ってなんて、今まで一部のPCオタクがまじっていない限り、誰もしてこなかったでしょ?

でもって、その皆で見た写真の中で気に入った写真をその場で自分や家族、参加できなかった友人などにメールで送れるわけですよ。
家に帰ってCDに焼いたりプリントして送るね、なんてこともしなくていいわけです。

すごいでしょ?

ちょっと想像しただけで、こんなに便利な時代になるんです。
今まで出来そうで出来なかったでしょ?

こんなことが、あちこちのシーンやビジネスで出来上がっていくんです。


しかし残念な事に、これが、この手の製品が日本で生まれなかった事。

SONYCLIEPSPという良い土台があったにも関わらず応用や同じSONYグループ内での連携がうまく取れず、できなかった。また、ソフトウエア部隊を外部に頼りすぎて成長させることができなかった。

任天堂は日本のなかでAppleに近い存在ではあるけれど、SONYとは逆でなんでも自社でやりすぎていたので、結局まわりがついて来れなかった(唯一DSだけ、他のメーカーも頑張って協力してきた感があるけど、それももう終わりの時代。Wiiなんて任天堂以外メーカーのゲームで面白いものなんて極小だし、ROMビジネスが基本にあるおかげか周りのメーカーも「もうかりそうな端末」にしか興味が無い→もうかりそうな端末が別で出てくればそっちがいい路線、つまり世の中変える事には興味が無い)。

NECは技術があり色んな製品を出しているけど、ビジネスのことしか頭に無くコンシューマーユーザーを豊かにするってことに関しては置き去り。

あとは、利権とあぶく銭に群がる著作権団体。そしてライブドア事件のときに既に手を打つべきチャンスがあったのにも関わらず何も成長しないで衰退を辿るTV業界。

もう、世の中は気がつき始めてるんですよ。

大作ゲームなんて、同じ作業を繰り返すか話が違うだけの時間の無駄なもの。
TVなんて、ほとんどがどうでもよい芸の無い芸人のつまらない話ばかり。
ためになる番組や本当に見たい番組は再放送されにくくダウンロード販売もされない矛盾。
不便になるばかりになった地デジ。

もう全部インターネットを中心に「愉しみや情報源」は置きかえらている、って。


■Change3

便利で使いやすい、このiPad。ちょっとした購買層の気持ちの変化が生まれてきていることに気がつきませんか?
iPadを「親にプレゼント」しようかな、っていう気持ちの現れです。
それほど高額ではなく、使いやすい。年配も興味津々。
渡しても「教える手間がない」「ウイルスの心配とかもない」。

みんな新しいインターネットというインフラを使いたがっているのを「知っている」証拠ですよね。
そして身内がディバイドしていかないよう、気にかけている証拠ですよね。
そんな悩みを解消している、これ。

もしかして、デジタル化によって「孤立」してしまったかのように見えていた「人と人の関係」も、良い方向に変えてくれるんじゃないかと思えますよね。