HDD ZaurusとCLIE UXをそれぞれ使ってみて
HDD搭載Zaurusと、UX50を購入してから結構経ち、今現在の状況をパっと書いてみます。
相打ちもしくはどっちもどっちやなぁ、と思ったものを△、断然便利と思うものに◎を付けています。
注目事項 | Zaurus | CLIE UX | |
---|---|---|---|
1. | 大きさ | △ | △ |
2. | 重さ | × | ◎ |
3. | キーボード | ◎ | ○ |
4. | ソフトの軽快さ | ○ | ◎ |
5. | 2chの快適度 | ◎ | ○ |
6. | メモのしやすさ | △ | △ |
7. | メール送受信 | ◎ | ○ |
8. | モバイル | ◎ | △ |
9. | カスタマイズ度 | × | ◎ |
10. | PCとの連携度 | △ | ○ |
総合 | △ | ○ |
という具合です。まぁ、かなり個人的な主観で比較していますが、ザウはPowerZaurus以降、CLIEはN700C以降に渡るPDAとの数年の付き合いで、判断している部分があります。
もちろん、標準状態ではなく、ZaurusはスペシャルカーネルでQalendarを導入、CLIEにはKeyQuickやAgendus9を導入して「もっとも便利と思う環境まで構築した後」での話です。
順を追って、説明します。
- 大きさ
一見、UXの方が小型でよさげにみえるが、実は小さすぎ。電車とかの微妙に揺られる空間で使うとUXの方は文字が小さすぎて目が非常に疲れる。しかし、薄さはUXのほうが素晴らしく、Zaurusの厚みはAカップの胸の人がCカップになるぐらい。つまり、スーツの型のバランス的にも悪く、ビジネスに向いているとはいえない。
また、小さすぎるというのは手の大きさに対して持つバランスもある。UXは大人の男の手で持つには小さい。開いた状態で親指にジョグが来ない。
面積で言えばZaurus、厚さで言えばUXぐらいがちょうど良い。だからどちらもイイとはいえない。 - 重さ
圧倒的にUX。この重さは胸ポケットに入れていても苦ではなく、片手でひょいっと持てる。素晴らしい。 - キーボード
携帯のように押し込むUXに対し、電子辞書のようにちゃんと突起ボタンになっているZaurus。液晶面を閉じた時の空間や接触のことを考えて押し込み式にし、工夫で波形の形状をとっているUXは、一見素晴らしい創意だが、使いやすさに導かれていない。
普通使ってみて、Zaurusのキーボードのほうが使い安い。ただし、ジョグと十字+押し込みキー、OK/キャンセルの差は明白で、圧倒的にジョグの方が使いやすい。
文字入力を中心として考えると、:や@キーの変則配置の少ないZaurusの方が良しと思う。 - ソフトの軽快さ
どうみても、Agendusやその他Palm系ソフトの方が「道具」として考えたときに便利。
しかし、Palmでは逆にスタイラス中心の操作になるので不便なところもあり、どちらが良いとはっきり区別はできない。今の時点ではCLIE側のソフトの方が無駄な動きが少なくやれることが多い、というだけの差。
今後のソフトウェア次第では、変わってくると思う。HDDだから遅い、Linuxだから遅い、というのはスペシャルカーネルにすることであまり感じられなくなり、CLIEでも待たされるところは待たされる(通信のON/OFFのときとか)。 - 2chの快適度
UX側でNNsiを無線LANでアクセス(ブロードバンド)し、データを取得すると、とても快適。しかし、これはZaurusでもQ2chを使いCFスロットに有線や無線カードを挿せば同じこと。差し替えの手間がある半面、場所々々で適な通信方法が選べ、いつでもどこでも取得できるのはZaurusの利点。
また、2ch以外の掲示板を登録したい時にZaurusのq2chならその場でエディタを開いて調整できるが、NNsiだとBBS登録モードに移行して更に判りにくい登録方法をしなければならないので不便。詠むだけならNNsi+ジョグダイアルの方が便利だが、それはジョグがあるお蔭。
トータル的にはq2ch〜つまりZaurusの方が使いやすい。 - メモのしやすさ
CLIE(UX)には手書きメモがあるが画面が狭い。ザウルスは広い画面があるが微妙に書きにくい。手書ではどっちもどっち。キーボードメモに関しては、どっちもどっちだが、CLIEの方にTeikeiDAとか良く使いそうな小技があるだけに軍配が上がる。
トータルで、どっちもどっち。 - メール送受信
メールの頻度にも寄るが、CLIEメールは標準のメーラーとしてはかなり秀逸。読んだメールを内部メディアに置いてしまうのが欠点だがフィルタ機能があり、便利。また、細かいことだが、読んで削除ボタンを押した後に次のメールに自動で移るのは重宝する。
ザウルスのメーラーは添付ファイルの操作方法やフィルタ機能が無いに等しい状態で、かつ操作にステップが面倒なときが多い。
しかし、やはり、HDDというほぼ無限に近い空間で受信できるZaurusは便利で、PCでも1〜2日に一回受信できればPC側でフィルタ処理してサーバー内を掃除してしまえばいい、という結論になるので、結果的にZaurusの方がよい。
CLIEメールのデータが内部のメモリを圧迫しないような修正さえあれば、PDAで最もバランスの良いメーラーになれただけに惜しい。 - モバイル
もう、どうみても、AirEdgeが使える分、モバイル向きはZaurus。インターネットに良く繋げる人ほどZaurus、まったく繋げない人ほどCLIE、という選択肢になると思う。
モバイル先でHDDをドライバ無しに接続できるのもZaurus。対してMEMORY STICKのアホさ加減のせいでProのMEMORY STICKを読めるPCすら見つからないのがCLIE。
テキスト入力やWEBの確認もZaurusの方が圧倒的に便利で、ApacheやMySQLをも使えるZaurusは貴重な存在。
世間一般でいう(インターネット接続とフォトストレージを重視した)モバイル端末として考えると、Linuxのほうが圧倒的に便利。 - カスタマイズ度
これについては、Zaurusはほぼ無いといって過言ではない。たしかにQaulenderに変更できるし、ソフトも追加できる。そういう意味では自由だが、結局置換えるだけのソフト量は少なく、マニアックな世界へのカスタマイズしかできない分、「自分化」への魅力は薄い。
CLIEは、ランチャ画面すら豊富で、PIMもフリーで便利なものから販売のAgendus、かつアイコンの幅広さなど「自分化」という意味で楽しい。よって、自分仕様として便利な道具を求めるカスタマイズ度は圧倒的にCLIE。 - PCとの連携度
Outlookという閉じられた世界での連携を中心とすれば、どちらも一緒。若干Zaurusの方がシンクロに手間がかかる感じ。しかし、Zaurusはあまりシンクロしないで単体で使うことが多いし、先のMEMORY STICKとHDDの認識面でもそうだが両方ともそれなりに連携に不便を感じる。
AgendusというソフトがありPCとCLIEの間でアイコンやToDoを統括的に扱え、かつ、自宅→CLIE←会社PCの間をいったりきたりする場合には、簡単に行えるCLIEが若干便利かなぁ、と思うだけ。
HDDの接続の簡単さについては、セキュリティの面を考えればどっちもどっちという結論になってしまう。
で、総合的にどっちがいいか?
結論は、こうだ。
・PIM重視、ToDoやスケジュール管理を中心として考え、暇な時に2chやメールを使う人→ CLIE
・インターネットにいつでもアクセスできるAirEdgeとセットで考えられる人→ Zaurus
だ。
残念ながら、無線LANでのモバイルはごく一部の地域に限られるので、家と会社で送受信→外ではオフラインという使い方のCLIEに対して、いつでもオンデマンドで使いたい時に使う、というZaurusの使い方はライフスタイルに大きく影響する。
・CLIEは、「後で調べる君」というソフトがあって、メモするだけで自動で色々調べてくれる機能が備わっていれば、神。
・ザウルスはもうちょっと「反応におけるインタフェース」を重視して押したらどうなる、こう示す、を中心にOSやソフト環境が落ち着いてくるとPalmを簡単に越えそう、しかし、今はまだまだ先だね、の段階。
一概に言えないけど、
CLIEの方が初期投資大(必要なソフトを拾ってきて構築することや、シェアウェア払いなど)→ランニング低い(外で通信しないスタイル)、
Zaurusの方が初期投資小(使いやすくするための設定時間も含めて)→ランニング大(AirEdgeなど別途必要)
と考えるのがいいのかな。
同じように通信するなら、CLIEのほうが分が悪いよ。自分がどっちのスタイル(オフライン派か、オンデマンド派か)に向いているかで使えると思う機種は変わりそうです。
ま、PDAって終息しそうだけど、しないと思うよ。
大手がやらなくなれば、その市場を狙うニッチなところが出てくると思うし、問題は、やっぱり、ソフト部分。まだまだ改善できるとおもうけどね。
そういう意味で、任天堂とかが本気にPalm界に入ってくれば面白いんだけどな。今のPalmは、アイデア湧いてもどうやってつくるか判らん、できない、がまだまだ多いよ。